図書館ブックフェア「ロボット」・講演会報告
講師:浅間一氏 
タイトル:人にサービスを提供するRT(ロボットテクノロジー)

 図書館ブックフェアは、毎年テーマを決めて、そのテーマに即した講演会を開いたり、テーマについて特集した「図書館だより」を発行したり、関連図書を紹介したりする企画ですが、今年度のテーマはロボットでした。

 「ロボット」についての講演会は、去る2月24日(土)、1977年に本学園を卒業され、現在、東京大学人工物工学研究センター教授、工学博士で、サービス工学研究部所に所属していらっしゃる浅間一先生にお越しいただき、「人にサービスを提供するRT(ロボットテクノロジー)」と題して行われました。浅間先生からは、講演に先立って次のようなメッセージをいただいていました。

 日本はロボット大国であることを知っていますか。日本は、ロボットの生産台数、保有台数、ともに世界一位で、ロボットは日本が最も得意とする技術分野の一つです。日本政府はロボットを重点分野に指定し、さらにロボット開発に力を入れようとしています。特に、産業用ロボットだけでなく、我々が生活する様々な場面で種々のサービスを提供してくれるロボットの開発が期待されています。

 ところで、ロボットはどのような構造になっていて、またどのようにして動いているのでしょうか。ロボットの構造は、人間や生物の構造と極めて似ています。ロボットのメカは筋肉や骨格に、センサは五感に、情報処理・制御系は脳・神経系に、ロボット間通信はコミュニケーションに相当します。

 この講演では、様々なロボットを紹介しながら、ロボットのメカニズムについて解説し、ロボットをどのように動かしているのかについて説明します。特に、センサを用いた認識、モータなどを用いた制御の技術について詳しく触れながら、動いている人をカメラと画像処理によって認識し、可動プロジェクタを自動的に動かして、その人にスポットライトを当てるというデモを行います。

 そして、講演会は、自己紹介として先生の麻布での生活や大学などでの研究生活に触れられた後、ロボットとは何だろう、ロボットと機械の違いは何だろう、といったことからお話が始まりました。ロボットを厳密に定義することは難しいけれども、ロボットというものは、システムという考え、多自由度(自由に動ける度合いの大きさ)、知能(プロセッサ)、自律(自己制御)と自立(自給エネルギー)といった視点から考えることができるとのことでした。

 マンガやアニメの影響からか、西洋人に比較して、日本人にとってはロボットは親しみのある存在で、ロボット産業も世界の中での先進国で、たくさんのサービスロボットが生み出されているそうです。そこで、2006年度のロボット大賞を受賞したセラピーロボットと呼ばれる「PARO(パロ)」をはじめ、いろいろなロボットについて映像とともに解説していただきました。たくさんのロボットの映像をまとめて見る機会はないので、とても楽しく興味あるものでした。

 映像の後は、少し話が難しくなって、先に触れたようなロボットというものを考える際の視点にかかわる問題についていろいろお話しいただきました。(的確に短くまとめるのが難しいので、省略させてもらいます。詳しく知りたい人は、講演会のようすをビデオに収録してありますので、図書館のカウンターに申し出て下さい。)

 最後には、約束通り、研究室の助手の方によって、会場の中で動いている人物を見つけ出して、その人物にスポットライトを当てるという装置の実演をしていただきました。その装置のポイントは、第一に画像処理にあって、背景と動きのあるものとの映像の時間差を作り出すことで、動いている人物を認識させることにあるということでした。

 また、今回の講演会の特別付録として、先生の研究室の4年生で、卒業論文を仕上げたばかりの麻布卒業生の先輩から、理系の学生としての柏キャンパスでの生活や研究室についての報告をしてもらいました。現役の先輩のお話はとても参考になったと思います。

 講演の後は、参加者からの質問を受けていただきました。いきなり、ロボットを人間に近づけることと、人間をロボット化(脳にチップを入れたりして)することについてどう論じられていますかという大問題の質問が出ましたが、先生は、そうしたロボットに関する倫理の問題については、正直なところ研究者においてまだきちんと論議されておらず、まさに生徒諸君が研究者になる頃の課題としてあるだろうとおっしゃっていました。鉄腕アトムは好きですかという率直な質問もありましたが、実演に関して、人と人でないものの動きをどう見分けるのですかという質問には、人の大きさやの動き方の特徴をモデル化して識別させているというお答えがありました。ロボット開発の現状についての質問には、あくまでも民生用開発の日本と軍事用開発のアメリカといった、国によって異なる現状について教えていただきました。また、理系か文系か迷っているという進路相談にも、助手の方や、卒業生の方も交えて、親切にそれぞれの考え方を示していただきました。
 講演会の終了後も、先生に直接質問する生徒の姿も見え、ロボットについて教えられ、考えることのできた、とても楽しく、有意義な3時間近くの時間でした。浅間先生をはじめ、助手の方、卒業生の方、本当にありがとうございました。

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