第4回“著者を囲む読書会”報告

 11月24日の土曜日、著者である佐藤幹夫氏を囲み、『裁かれた罪 裁けなかった「こころ」―17歳の自閉症裁判』(岩波書店)についての読書会が開かれました。

 はじめに、参加者それぞれが本についての簡単な読後感を述べました。その中では、高1の参加者が文章化した感想を提出してくれたので、以下にその一部を紹介します。

 この本を読んで私は、現在の少年審判が難しいものであることを実感し、また、発達障害者の起こした事件に対する向き合い方も、ただ「保護処分にするか刑罰を与えるか」といった単純な論議では片付けられない複雑さがあると学んだ。被害者からすれば、加害者に厳罰を求めるのは当然の心理とも言えるが、加害者が少年であり、最大でも無期懲役であることを考えると、十数年後には釈放されるわけで、それならば多少刑期軽くなろうとも再犯が起こらないようにする教育をするべきであるという主張も理に適っている。
 この本を読んでいて思ったことを挙げさせていただくと、まず、証言など、事実を述べているという点では非常に分かりやすくなっているのだが、そのために著者の見解を書く部分が少なくなっているとも思えた。また、少年事件であるゆえ、仕方ないことではあるが、やはり情報がどうしても欠けてしまっている部分もあると感じた。ちなみに、この本で一番好きな部分は、帯の「現実はそう単純ではない」というところである。的を射た意見でもあり、この部分が本の内容を一番端的に表していると思う。

 読後感を述べ合った後、皆で新聞に載った書評を読み、著者である佐藤氏自身に書評についての感想を伺いました。著者として書評者の言葉遣いにとまどいを感じるものもあるけれども、基本的に自分の言わんとするところを受け止めてくれているとのことでした。書評ではなく、事件やその裁判の記事について言うと、関西で起きたことでなので、さすがに関西の新聞での取り上げ方が大きく、それ以外のところの新聞とではかなり違っていたとのことで、客観的であるように見えるメディアの報道というものが必ずしも全国均一ではないものだということを知らされました。

 その後は、広汎性発達障害(高機能自閉症、アスペルガー症候群)についての基礎認識を確認して、自由な話し合いとなりました。「少年はけっこう普通ではないのか。現代だから病気に分類してしまうということもあるのではないか。」とか、「犯罪を犯した発達障害の者がいなかったのではなく、そのように捉える視点がなかったのだろう。」とか、「こういう事件は未然に防げるものなのだろうか。」とかいったさまざまな話題が展開されていき、被害者感情の問題などについても話し合われました。著者からは、裁判の様子や率直な意見なども伺いましたが、とにかく、今までになかった問題提起なのだから、それをきちんと社会が受け止めていくしかないだろうということで、読書会を終えました。

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