「著者を囲む読書会」:苅部直『丸山眞男―リベラリスト肖像』(岩波新書)について

 2007年1月13日(土)に、図書館部主催の第3回「著者を囲む読書会」として、著者の苅部直氏をお迎えして、『丸山眞男―リベラリスト肖像』(岩波新書)についての読書会を開催しました。この本を読書会の対象にしようと決めてからは、「丸山眞男を読む」という会が氷上校長を中心として9月に発足し、そこでは戦後直後の丸山の論文が読まれていました。当日は、「丸山眞男を読む」の会のメンバーだけでなく、一般の生徒や教員やOBや生徒の父親など、実にさまざまな年代による参加者が、この本や丸山眞男について苅部さんに質問をし、それを受けていただいて多岐にわたる話題とともに読書会が進められていきました。

 その質問・話題をいくつかを紹介すると、まず、苅部さんがこの本をお書きになった動機・目的はどのようなところにあったのですかという質問に対しては、いろいろな動機があるけれども、そのなかの一つには、政治思想史という学問のおもしろさを一般の人にも知ってもらいたいという気持ちがおありだったということで、丸山眞男はそれをやった人だったのではないかということでした。今は丸山眞男が読まれなくなっているのではないかという質問に対しては、確かにそうかもしれないが、自分が若かった頃も読まれてはいなかったのだから、そんなに変わっていないのではないか。丸山眞男を読んでいないからといって、馬鹿にする気はないし、無理に読んだところで意味はないので、大事なのはおもしろく思えるかどうか、自分自身の問題・関心になるかどうかということだとおっしゃっていました。そういう意味で、テーマを決めて体系立てて論じるのではなく、評伝という形をとって個別に問題点を提示していったのは、読者が丸山眞男について自分にとってのおもしろさや関心を見いだしてほしいと思ったからだとそうです。こうしたことと関連して、若い人の政治への無関心ということについては、ある意味ではそれは当たり前で、それは自分の生活と政治との接点がないからである。ただ単に政治に関心を持てといっても意味のないことで、子育てをするようになった大人が保育園問題に関心を持つように、観念的にではなく自分の生活から政治を考えていくことが大切だとおっしゃっていました。

 読書会の様子は、ビデオに撮らせていただきましたので、見たい人は図書館カウンターに申し出て下さい。また、読書会に参加した生徒がその感想を図書館通信・「衣錦尚?」紙上で述べてくれることになっています。なお、「丸山眞男を読む会」は、この読書会の後も続けられています。

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